ことばならべ

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平井早紀 ポエム 『平井早紀のことばならべ』

【あ】
あなたが過ごしている時間は、あなたの命に他ならなくて、
だから今この文章を読んでくれているあなたは、
私に命を遣ってくれているのです。
私はそのお返しにつたなくて穴だらけの言葉だったとしても、
極上の命で紡ぐから。
大切にまとってね。

【い】
今この瞬間は、今生きている私は、これまで私が生きてきた時間の集合体だから。
これまでの私を許せるような今の私で立っていたい。
過去は今で、未来。

【う】
嘘をつかないように生きようと思った。
嘘にならないように生きてしまった。
それは結局のところ、自分を偽ることで、
まぎれもない嘘だったのに。

【え】
永遠を求めるあなたはきっと満足してくれないだろうけど、
私にできることは最大級の今を見せてあげることだけだから、
永遠でない私を、永遠でないあなたで、愛していてほしい。

【お】
同じ夢をみられなくても、同じ朝がやってくるから分かち合えるよ。
それぞれの夢も昨日も、同じ朝に話し合おうね。
そんな同じ朝を、それぞれに感じる同じじゃない二個体。あなたと私が別々であることを理解できる幸せを話し合おうね。

【か】
変わる。何もかも全部。
今この瞬間も、次の瞬間には過去に変わって、どんどん塗り替えられてく。
私の身体も毎秒細胞分裂を繰り返す。私が私であるために。
変わらないでいるために変わるんだよ。

【き】
きみが今、見ている景色を、そっくりそのまま私の目に映せないように、
あの子が今、感じている傷を、そっくりそのまま感じられないという傷。
自分の痛みをきちんと感じていなきゃ、きっと寄り添っていても、お互い痛むだけ。
きみの傷はきみの傷でしかない。

【く】
比べていないと、自分の価値なんて分からなかった。私を認めるために誰かをおとしめていて、私を愛するために誰かを嫌わなきゃいけなかった。
比較はされるもの。
自分の中では何があっても私は守られてしまうのだから。無意味に人をけなすなよ。

【け】
消したい過去のきみも殺さないで。
あの頃にもう十分何度も殺したから。
ここからは抱きしめてあげられるよ。
ここまで生きたから抱きしめてあげられるよ。
弱いきみと一緒に生きていける強さを、きみは手にしているはずだよ。

【こ】
ことばはのこるよ。
素敵なことばも悲しいことばも。
いろんなところで頂戴したたくさんのことばで、話している。
この私のことばも誰かの中にのこる。きっと。

【さ】
冴えた頭が心を置いてけぼりにする夜は、時間の泳ぐ速さに追いつけなくて苦しい。
喘げど、もがけど、カーテンの隙間から朝はやってくるから、
今日に着替えるだけで上出来。

【し】
白いTシャツの小さな背中が走る。
ビーチサンダルの音、ぺたぺたぺちぺち。
その先に何があろうとなかろうと、角を曲がるだけで大笑いできた、あの感覚はもう取り戻せないけど、
彼の背中に光を見られる私で良かった。

【す】
好きでいるためになら転んだって走ります。あなたを好きでいたいから。あなたを好きな私でいたいから。
あなたを好きというエネルギーを燃やして、走り続けます。

【せ】
正解の中に生きてる。
あなたも私もあの子も彼も。
あなたの正解があなたの世界を作って、
私の正解は私の世界を作る。
異世界人なんだよ、簡単に分かり合えないんだよ。
あなたも私もあの子も彼も。
間違って、ないよ。

【そ】
爽風駆けて
私を柔らかく貫いて
身体に少し絡まって残って
全身を巡り砕け散って
粉々になってまた繋がって
私を包む愛となって
あなたに届け

【た】
正しいことは忠(ただし)いこと
その正しいは誰の正しいなのか
誰に忠く生きるのか
何に忠く生きるのか
全てに忠義は尽くせないのよ

【ち】
地下鉄が、いそがしさを運ぶ
愛も不安も喜びも悔しさも運んでいると
スマホを見つめる君の目が言う
いのちなのだと触れる手が言う

【つ】
積み木で遊ぶこどもみたいに
自分のお城を作っては壊し、また作るのが
わたしの人生であればいいな
何度でも作り上げて
もっと素敵なお城をつくりたいの

【て】
手を伸ばせば届く距離で、
背伸びすればぶつかる高さで、
ひとつひとつ抱き締められるようになることが
たった1つの進み方なのかなって。
わたしはちいさい。
わたしが思うよりずっとちいさい。

【と】
特別になりたくてなりたくて、願うほどに特別じゃない自分に出会って、特別なあの子が羨ましくて。だけどあの子は私なんて特別じゃないよって言う。光る星みたいに瞬きながら、光の速さで特別な言葉を私に届けるのに。さも当たり前のように、あの子は言う。

【な】
仲良しごっこでみんなといるより
ひとりぼっちでも大切な人を探して闘っていたいよ
ひとりぼっちで立てないと
大切な人の手を握れないよ

【に】
人間大変だ
できることが多すぎて大変だ
生きることが当たり前すぎて大変だ
死ぬことを忘れすぎて大変だ
生きる為に生きられるのは人間だけだから大変だ
生きる為に生きなきゃいけないのは大変だ

【ぬ】
濡れたアスファルトが光る
傘の先が水を切る
私を映してはくれない鏡には
影だけが落ちる
私のある場所だけが光らずに澱む
遠くで聞こえる終電の音
さようなら、はい今日はこれでおしまい

【ね】
寝返りを何度打っても朝が迎えに来なくて、
待ちくたびれたら迎えにいくことにしたの。
顔を洗って、朝に似合う服を着て。
空はまだ眠っていても、街はまだ眠っていても、
朝は私が連れてくるから。
夜も朝も私を待ってる。

【の】
伸ばした手の先にあるのがキラキラ輝く宝石じゃなくても
何度も支えてくれた君の目の前にいる私はほんものの私。
私の目の前にいる君も、ほんものの君でしょう?

【は】
吐き続けたらいつか私は空っぽになるのかな
抱えていたいものも吐瀉物のように吐き出して
金曜の夜の街

【ひ】
ひどい夢とそのつづきみたいな朝に
笑いかけるという嘘に
あなたひとり微笑んでほしい
わたしはまだ夢の中
微笑みでこの悲しみを嘘にして
静かに朝食を

【ふ】
塞いだ耳にはいつまでも罵声が澱む
これ以上傷つかないように塞いだはずなのに
あの子の声はもう思い出せないのに
反響するのはきっといつかの傷付いた私の声
大丈夫、あなたを無駄にはしないから
もう眠りなよいつかの私

【へ】
平和は戦争を影にして
背中合わせに立っていて
誰かが笑う時誰かが泣いていると
どこかの誰かが言っていて
それはきっと確かにそうなのだけど
自分が笑っていられるように戦うのは
どうしてもかなしいよ
どうか真上に太陽を。
影が少しでも短くなるように。

【ほ】
細い指のきみに、あの日私は太陽を見たよ
きみはいつもそこにいて
だけどいつも遠かった
きみの陽だまりは心地よかったけど
私はそこで眠ってばかりで
雲を払う風にもきみを包む夜にもなれないで
それでも照らしてくれてありがとう
そんな出会いが、あったんだ

【ま】
街が突き上げた腕をすり抜けて
星屑は静かに零れ落ちていく
静かに街に降り積もる
輝きはきっと街に染み込んで
やがて形を失うだろう
残像だけを誰かの目に焼き付けて

【み】
みんなひとりだよ
ひとりとひとりとひとりとひとり
あなたもわたしもひとりずつ
混ざり合うことができなくて
もどかしいからそばにいる
私はあなたになれない
私は私にしかなれない

【む】
無意識という潜在意識は、全部過去の私の結晶。

【め】
目の前にいるあなたの為に、何かできることがあるとしたら、
それは世界を少しだけ、救うことにならないだろうか。
わたしとあなたは74億分の1の小さな世界。

【も】
もうダメだと投げ出した愛を
誰も拾ってなんてくれやしないから
諦めたくはないよ
終わらせたくはないよ
私は私の愛を何度でも拾ってくよ
諦めたくはないよ

【や】
柔く滑らかな未来が
私の手を握り返して微笑んだ
あなたには見えるのですね私の心が
お礼に私は笑顔をの中で
あなたの行く先の幸福を願いました
いつかあなたの心が曇っても
柔らかな未来に守られるように

【ゆ】
憂鬱を創り出す非凡なる才能を
大声で笑い飛ばしたい
拍手喝采スタンディングオベーションで
全部ひっくり返して笑い飛ばしたい
馬鹿にはしないでよ
この憂鬱は命綱だったんだから
今はもう足枷でも
せめてちゃんと笑ってあげたいんだよ

【よ】
余計なことなんてきっと無い
今この瞬間を未来は無視できないもの
過去の中に今がある
過去に拾い忘れたものがあるなら
集めに行こうね
余計だと思っていたあの日にも
宝物はあるから

【ら】
楽したつもりのフラットシューズより
少し無理したピンヒールが
心を楽にしてくれる日もある
硬い足音に孤高を感じたりさ
滲む血で真っ赤な花咲かしてさ

【り】
理解できないこと、愛せないわけない
だって私、私のことも、あなたのことも、
理解できないもの
理解できたと思ってしまうことは
知ることをやめてしまうこと
理解できないから、愛せるんだよ

【る】
ルビー色の君の輝きが
私の瞳に焼き付いた
眩しさに君が燃え尽きそうで
その輝きすら疎ましい
私の瞳よ、君の色を写し取って燃えてくれ
私だけを焦がす高温のルビー色

【れ】
冷蔵庫のモーター 国道のトラック
カーテン 風鈴 虫
空間を独占する夜に 溶け込んでいく身体
どこにも行けないのに 透明になる身体
ここにいる私は こんなにも無意味なのに
あなたが意味をくれるから
透明な私は輪郭を持つ

【ろ】
ロングスカートが膨らむと
私の心に羽根が生えるの
風がどこまでも運んでくれる
私を包む小さな世界が
私を特別にしてくれる
ロングスカートが膨らむと
私の心に羽根が生えるの

【わ】
忘れていいよと言えないワガママを
愛だと言ってね
あなたと私が別々であることを知りながら
あなたの希望でありたい私のワガママを
どうか愛だと、許してね

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